四章 終幕、それは新たな始まり

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 この生活も、明日で終わりか。  最初は無理やりな感じだったけど、気づけば俺自身この一週間を本当に楽しんでいた。  とはいえ、明日が終われば俺は風見家に戻り、美鶴や咲崎にからかわれることもなくなるだろう。 「あの……兄ちゃん」  コンコンというノックの音に続いて、ドアの向こうから聞こえてくる百合ちゃんの声。 「入っていいよ」  そう言うと、百合ちゃんはドアをゆっくりと開けて、そろりそろりと室内に入ってきた。  なんだかちょっと様子が変だ。 「兄ちゃん……明日って、ヒマ?」 「ん? まぁ、特に予定はないけど」  別に友達がいないわけじゃないぞ。  明日はたまたま、本当にたまたまヒマだっただけなんだから。 「なら……買い物に付き合ってほしいんやけど」 「お昼ご飯の? それなら全然――」 「そうじゃなくてっ、えと……ほら、もうすぐ冬だし……上着とか」 「ああ、洋服ね。うん、もちろん構わないよ」 「ほんまに!? じゃ、じゃあ約束したからっ!」  それだけ言うと、百合ちゃんはなぜか駆け足で帰って行った。  ……あー、よく考えたらこれって、なんかデートみたいだな。  それで百合ちゃんも恥ずかしかったのかもしれない。
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