序章 激変する生活

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 その日の夕食は百合ちゃんが作ってくれた。  あまり得意ではないと言っていたけれど、出てきた料理は一般的な家庭料理の数々で、普通に美味しい。  俺の知り合いの女の子はほとんどが料理上手だったりする。できないのって義理の姉、風見夏紀(かざみなつき)くらいなのではないだろうか。  母親の風見春香(かざみはるか)さんがなんでもこなす完璧超人だからか、その娘で俺の義理の妹である風見千秋(かざみちあき)は家事全般をそつなくこなす。  ただ、千秋は行動力や他人をまとめる社交性は持ち合わせていないので、姉妹で春香さんの良いところを分け合っているという感じだろうか。 「兄ちゃん、どう? 口に合う?」  サイドポニーを揺らしながら感想を求める百合ちゃん。  それに対して俺はもちろん、「美味しいよ」と答えた。  その答えに満足したのか、百合ちゃんはその表情に笑顔を浮かべる。  最初は他人の女の子と同居なんて……と、少し困惑したものだが、裕二もいるから二人きりではないし、なんだかんだで今の状況を楽しんでいる自分がいる。  今日から一週間、どうせなら目一杯楽しんで、これが百合ちゃんにとっても裕二にとっても、そして自分にとってもいい思い出になるよう、頑張ってみようか。
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