1611人が本棚に入れています
本棚に追加
誕生日は本屋に行って、面白そうなやつ全部買ってくるって決めてんの!
そんな至福のひと時を、許婚なんかに邪魔されてたまるかっ!!
「あ、あの……?」
俺が美咲さんの事を忘れて、物思いにふけっていると、美咲さんが怖ず怖ずと手を挙げた。
「はい、美咲さん!」
俺は教師になったつもりで、ビシッと指さした。
「は、はい!
……あの、美咲さんじゃなくて……美咲って呼んでもらえませんか?」
…………ぅん??
この人は話を聞いていたのかな?
出ていけって言ってんのに、美咲さんだとか美咲とか……どうでもいいんですけど……
とりあえず、俺は立ち上がって玄関のドアを開けに行った。
「さぁ、どうぞ……お帰り下さい美咲様」
俺はドアを開けて深々と頭を下げた。
「…………はぅ」
そんな俺を見てあいつは顔を赤くして、変な声を出した。
「……なるほど、執事さんタイプなんですね……ますますかっこいいです……」
なんかぶつぶつ呟いてるけど、全然聞こえねぇや。
いつまでもぶつぶつ言ってるが、いい加減俺も我慢の限界だ。
美咲の所まで戻ると、強引に手を引いて立たせる。
あれ……今、呼び捨てしちゃった?
まぁ、いいか……
最初のコメントを投稿しよう!