*3* トモダチ。春奈と陸

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*3* トモダチ。春奈と陸

「お願い春奈っ!宿題見せて!」 「駄目だって!馬鹿!自分でやりなよっ!」 「だって、さっぱり解らないもんっ!」 「教えてあげるからっ」 「もう間に合わないよぉ!休み時間あと5分だしぃ」 私、あやめと 隣の席の菊池春奈。 こんなやりとりは毎日のこと。 いつもは、駄目だと言いつつも結局は宿題を写させてくれるのに 今日は、そうはいかなかった。 さすがに毎日これじゃ、 私の為にならないと思ったんだろうな…。 「これっ!いいよ。俺の映す?」 そう言って、数学のノートを差し出してくれたのは 春奈の後ろの席の 佐々山 陸。 「さっ…佐々山くん、いいのぉ?」 「うん。どーぞ?」 「佐々山ぁっ!あんた、 あやめが今以上に馬鹿に なってもいいの!?」 「だって、かわいそうじゃん。」 「このまま馬鹿になっていくほうが、かわいそうだしっ!」 「まぁいいじゃん。今日だけ。まったくうるせぇな。クソマネージャーは。」 「なに!?」 バスケ部の陸と、バスケ部マネージャーの春奈。 二人で言い争ってるみたいだけど、私は宿題を写すことに必死だった。 「てゆうか、あやめ あんた部活もしてないのに学校帰ったら何やってんの?」 「んー?いろいろ…」 「バイトとか?」 「ううん…。 よしっ!完璧!ありがと 佐々山くん。」 「また、いつでも言って。」 って、少し照れながら 笑った。 「馬鹿!甘やかすなって!」 「ねぇ、佐々山くん。 陸って呼んでいい? 私のこと、あやめでいいよ。」 そう言って、にっこり笑ったあやめの笑顔を見て、 陸は少し顔を赤らめた。
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