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*5* 肩ごしのひまわり。
梅雨が明けて、期末テストが終わって、すっかり夏になった今日この頃。
セミの鳴き声と、部活の掛け声。
高校一年生の夏休み。
本来なら、お家でのんびり優雅にアイスクリームでも食べながら、ワイドショーを見ているはずだったのに。
こんな暑苦しい教室に私と担任の塚本先生、二人きり。
塚本先生が、何か読んでくれてるみたいだけど
睡魔に襲われている私には
完全に子守唄。
塚本先生の、その声が
物凄く心地良くて。
懐かしくて、優しくて。
私はあっという間に夢の中。
「………………。」
……せめて下向いて寝てくれ…。
こんな堂々と…。つーか、上向いて舟こぐとか
ありえねーだろ…。
ヨダレ垂れてるし…。
汚ねぇ……。
「おい。青井起きろ。」
…反応無しか……。
ものすごい舟こいでやがる…。
教師になって、三年と少し。
こんな場面は何度もあった。
ここは、びしっと説教してやらねば…。
「こらっ!青井っ!!」
少し、声を張ってみた。
青井の頭が大きく後ろへ
ふらっと倒れかけて、
一気に前に戻ってきた。
ゴッ!!!!!
激しい音が響いた。
あー…あぁ…。
思いっきり顔面ぶつけたな…。
あほか…こいつ……。
「…う゛ー…。痛い…」
「そらぁ痛いだろうよ。…つーか鼻血出てるし…」
「血!?うそっ!!わたし死んじゃうっ!!」
「死ぬかあほ」
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