城ケ崎 真希

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気付かれてしまった。 私はすぐに駆け出し、階段を下りた。 その時、前から私の方に向かってくる人が見えたのだ。 そいつは私に近づくにつれ、顔の認識ができ、幸平くんであることを理解した。 さっきの会話が思いだされる。 『この前はへましてたけど今回は失敗するなよ』 『幸平くんのためだもん私がんばる♪』 私は危険を感じ無我夢中で階段を駆け上がっていた・・・ そして気がついたら屋上にいた・・・ 自分の心臓の鼓動が耳に伝わる。 そしてもぅ逃げ場がないことに気がついた・・・。 「なんでって幸平くんのためよ クスクスクス あなたが死ねば幸平くんは幸せ あはははは、あーはっははは・・・」 その時だった、リンゴが頭を抱えナイフを落とし唸りはじめたのだ。 「うぅーうぅーうぅー・・・…………………。 あっヒーちゃん。 私なんでこんな所にいるの?えぇ?」 「えっ?リンゴ?」 私は突然の事に戸惑った。そして考える間もなく、リンゴが急に悲鳴をあげた。 「こっちにこないでーこっちにこないでえぇぇーー!!」 「どうしたのリンゴ!?だいじょう・・・」 私がリンゴを心配し、手を差し延べようとしたその時だった。 ドンッ!! 私はリンゴに突き飛ばされていたのだ。 気が付いた時には遅かった。 私の体は宙をまい、手摺りにぶつかったが、そのまま外へと体が落ちていったのだった。 私は落ちるまでのあいだリンゴの甲高い笑い声を聞きながらリンゴと幸平くんと三人で遊んだ日々を思い出していた。 ビシャッ 19〇8年1月6日桜三坂高校で転落事故が発生しました。 放課後、友人と屋上にいたさい、手摺りから後ろへ倒れるよう転落したもよう。 まもなく死亡しました。 19〇7年12月8日の事件との関連性をふまえ現在捜査中とのことです。image=317920954.jpg
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