城ケ崎 真希

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19〇7年11月18日 数日前、私はリンゴと一緒に野球部のマネージャーになった。 なぜかと言うと、リンゴに誘われた。それだけである。 仕事といえば部室の掃除、道具の手入れ、ボール磨き、給水用のジャグの準備など。 こんな雑用のような事をしていて何が楽しいのかと思っていたが、最近楽しみなこともある。 いつもと同じように雑務をこなしていると声をかけられた。 「姫、タオルとってくれないか?」 「はいっ」「まったく私に取らせるなんて百年早いわよ」 「そんな事、言ってもちゃんと取ってくれるもんな姫さんは」 「ふんっマネージャーだから仕方なく取ってあげてるんだから感謝しなさいよね!」 「はいはい、そう言う事にしておきますよっと」 「うぅ~・・・・」 私がすねていると彼は優しく頭を撫でてくれた。 彼は桜三坂高校野球部エースで四番ピッチャーの山岡幸平(ヤマオカ コウヘイ)君。 クラスはC組で違うけどリンゴの紹介で久しい間柄になった。 私は、彼がいるからマネージャーを続けようと思ったのだ。 部活が終わり、いつもどおりリンゴと一緒に帰る。 「ヒーちゃん最近、幸平君と仲良いよねー、あと性格も少し変わったようなー」 「えっそお?普通だけど?」 「まさかヒーちゃん幸平君のこと すき?」 ぶぅーっつつ!!! あまりにも唐突で核心をついた質問に思わずふいてしまった。 「げほっげほっ・・・急になに聞いてるのよー!!」 「えっ?まさか図星??」 リンゴがニヤニヤしながら聞いてきた。 「ちっ違うわよ、好きとかじゃなくてマネージャーだから話しするだけなんだから!!」 「へぇー」 リンゴはまだニヤニヤし続けている。 私はリンゴの鋭い質問に戸惑いを隠しつつ、自分の気持ちを改めて気付かされたのであった。image=317689110.jpg
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