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19〇7年12月3日
先に帰り支度がすんだリンゴが私の教室で、支度が終わるのをまっていてくれた。
「まだー。ヒーちゃん早くぅー。」
机の上に座り足をプラプラさせながら私を急かす。
ガラガラガラ…
後ろのドアが開き幸平君が入ってきた。
「今野いるか?」
初め、私に用事があって来たのかと思いドキッとした。
が、リンゴに用があると分かった瞬間、心臓を握られたかのような痛みを感じた。
「なぁにー?幸平くん♪」
そう言いながら、かけていくリンゴの背中が羨ましく苦しく憎らしく思えた。
「ヒーちゃん」「今日ちょっと悪いんだけど先に帰ってくれない?」
「あっ…うん。いいけど…、話し長くなりそうなの?」
「うん、少しね」
「・・・・・・・・そう、分かったわ」
リンゴの嬉しそうなあの表情。
私は帰ることを躊躇した。二人をこのまま、残してかえったりして後悔しない?
もし告白とかだったら?
私は素直にリンゴを祝福できるの?
そんなことが頭の中を駆け巡った。
結局、何も出来ない私は、学校をあとにするしかなかった。
家についた後も、二人は何を話したのだろうか、まさかもう付き合っていたのではないだろうか、頭の中が不の感情でいっぱいになった。
夕食もあまり喉を通らず、寝ようにも眠ることが出来ず、新聞配達のバイクの音がした頃、ようやく眠りについた。
:::::
翌日、重いからだ引きずりながら学校へ向かう。
いつも通りリンゴが先に来ており、なに食わぬ顔で平然と飛び付いてくる。
昨日の事を聞くと、大したこと話さなかった、と茶を濁されてしまい、それ以上教えてくれなかった。
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