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――どうしよう。アンリのことは好きじゃないけど、だからって見殺しにするのは忍びない。大事になる前にとりなしたほうがいいのかな……?
幸いにも、赤毛さん本人は失礼な少年を声高に咎めるつもりは無いみたいだった。けど、このまま続けばどうなるかわかったもんじゃない。
――うう。あんまり気乗りしないけど、アンリのせいで連帯責任とかにされちゃったら堪んないし。しょうがない、行くか。
「んもう! 通してください! 私はあの人に用があるんですっ!」
「招待された方以外の入場は禁じられております」
――って、なんだか今度は出入り口のほうが騒がしい。
一歩踏み出そうとした中途半端な格好のまま、緊張に包まれている隅のテーブルから目を引き剥がしてそちらを見ると、華奢なシルエットの人が屈強なガードマンと押し合いへし合いしていた。
両側から二人に拘束されてともすればそのまま外に引きずり出されそうになっているが、あちらも負けてはいない。かなり暴れているせいで、荒事には慣れているはずの男たちの手を焼かせているようだ。
――なんで殴ったりして無理やり阻止しないんだろ?
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