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 カフの姿を見ると、少しこわばっていた表情の彼らは一斉に破顔して歓迎してくれた。 「なんだぁ、カフか。神官かと思っちゃった」 「そんなとこ突っ立ってないで入ってこいよ。オレの部屋じゃないけど」 「ほんとにね。……カフ、昨日大丈夫だった?」  それぞれ持参してきたのか、折りたたみ式の小さな椅子をガタガタ言わせて空けてくれた場所に腰掛けると、セブランが気遣うような眼差しを向けてくる。 「大丈夫って?」  きょとんと首を傾げると、くすんだ金髪のリックが脱力した声を漏らした。 「客だよ! オレ見てたんだけど、なんかヤバそうな奴だったからさ」 「うん……それに、皆帰ってきたときにいなかったから」  それに同調して、いつも大人しいメガネのユーリもカフを心配そうに見つめてくる。 「ありがと。これぐらい慣れてるから大丈夫だよ」  皆の気持ちが嬉しくて、思わず顔がほころぶ。セブランだけまだ半信半疑っぽい顔をしていたけど、あとの二人は納得してくれたみたいだった。 「そうだ、カフもこれ食えよ」  テーブルに広げていたお菓子の箱をリックが押し出してきた。 「どうしたの、これ?」  少し減っているとは言え、それでもクッキーやアメがまだまだみっしり詰まっている高そうな箱に驚くと、ユーリがいたずらっぽく笑った。 「お客さんにもらったんだって。リックったら食いしん坊だから」 「そういえばこの前も貰ってたよねぇ」 「うるさいなー。あ、神官にはナイショだかんなっ」  二人にからかわれて憮然とした表情のリックにカフも笑いたいのを押さえながら、ありがたくお菓子に手を伸ばした。 「ふふ……ありがと。俺、ご飯食べ損ねちゃったから小腹すいてたんだ」 「なら遠慮しないでいっぱい食べろよ。……んで、さっきの続きだけど」 「凄かったんだから。ヒヤヒヤしっぱなしだったよ」 「ね。ボクもあんなの初めてみた」  もくもくとお菓子をかじりながら耳を傾ける。どうやら、昨晩アンリが起こしたすったもんだについて華を咲かせているみたいだ。 「結局あの後別の客捕まえてさ、お咎めナシってのが残念だけど。振られてザマーミロって感じだな。オレあいつ嫌いだし」  リックの正直な言葉に、セブランとユーリは苦笑しながら頷いてみせる。 「そうだねぇ。カフ殴られちゃってたし。……あー、思い出したら腹立ってきた!」 「あ、あはは……。アンリでも振られちゃうことあるんだね」
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