愛『散文詩』

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凍えぬように包み込む愛。 歩めるように支える愛。 迷わぬように導く愛。 曲がらぬように見守る愛。 深き傷をいたわる愛。 腐らぬように叱る愛。 震えぬように寄り添う愛。 ………。 この世界には、どれだけの愛が存在するのだろう。 欲張りとは、いけない事のように語られる事が多い。 けれども、愛する事を知る旅は、欲張りなほど、良いのでは無かろうか――。 どれだけの愛に触れ どれだけの愛を胸中に収め得るのか――。 それは、途方もない旅の数々で この一生のうちに、全ての終着を見る事も困難であるかも知れない。 だからこそ、欲張りなほどに求めるのが良かろう。 だが――。 愛される間は、それを求めぬ方がよい。 愛はとても気品高く、時にとても気紛れで 求められるだけであるならば、すぐに何処かへと去ってしまう。 愛を探すは尊き旅路。 愛を求めるははかなき道程。 まばゆい旅の数々は きっと 私達の到着を待っている。
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