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少年は黙ったままだ。
彼女は顔を上げ、少年を見つめた。
「でも……お願いです、死なないでください」
そういう彼女の表情は酷く儚かった。
「空がないのなら、空がある場所に行けばいいんです。
いつか、地球に行けばいいじゃないですか」
「簡単なこというな!!」
少年は彼女の言葉にいらつき怒鳴った。
彼女はビクつき、言葉を失う。
「この時代に……そう簡単に船から船、ましてや船から星まで渡るなんて……。
いくつものフォールド断層をこの一般人が越えて行けることなんて出来ると思うか?
そんなの無謀だ」
少年は俯いた。
「無謀なんだよ……」
悔しそうに、そう言った。
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