第0話

11/22
前へ
/353ページ
次へ
少年は黙ったままだ。 彼女は顔を上げ、少年を見つめた。 「でも……お願いです、死なないでください」 そういう彼女の表情は酷く儚かった。 「空がないのなら、空がある場所に行けばいいんです。  いつか、地球に行けばいいじゃないですか」 「簡単なこというな!!」 少年は彼女の言葉にいらつき怒鳴った。 彼女はビクつき、言葉を失う。 「この時代に……そう簡単に船から船、ましてや船から星まで渡るなんて……。  いくつものフォールド断層をこの一般人が越えて行けることなんて出来ると思うか?  そんなの無謀だ」 少年は俯いた。 「無謀なんだよ……」 悔しそうに、そう言った。
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

181人が本棚に入れています
本棚に追加