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「はい……この時代になっても、どうしてもデジタルは信じられなくって。
だから、自分の手で書いてるんです」
にこり。
彼女はやわらかく笑んだ。
その優しげな笑顔に少年はひとときだけ見惚れた。
風が吹き、時が止まったかのようにも少年には思えた。
「……あなたのお名前……よろしければ教えて下さい。
わたしの小説の主人公にしたい」
その彼女の言葉に少年は呆けていた意識を現実へ引き戻した。
視線を外し、見惚れていたという自分に恥ずかしくなって少々頬を赤らめて黙っていた。
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