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「これ……あなたが飛ばしたものですか?」
彼女は手に持っていた紙飛行機を見せ、問いかけた。
少年はやはり暫く沈黙していたが「あぁ」とだけ、そうとだけ答えた。
「あなた……死のうと……してますね?」
屋上の端に佇んでいる少年の髪は、風になびきやわらかくやさしくなびいた。
だんまりを決め込んでしまっている彼に、彼女は続けた。
「わたしも……死のうとしているから……いつも死のうとしてるから……わかるんです」
「だからわたしがこう聞くのもどうかと思うんですが……」
「どうして死のうとするんですか?」
彼女の問いかけに少年は暫く応じなかった。
しかし視線をマンション下へ戻すと、口を開いた。
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