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──新東都市内──
私立 桜華乙女学園
立ち並ぶ桜の木から花びらが舞い散る中
校門をゆっくりと歩み進む
女子生徒が一人
???
「…」
その時 後方から女性の声がする
『佳澄ちゃーん!』
その声に女子生徒が振り向く
佳澄
「あ、静流さん」
佳澄が振り返った先には
長い髪をなびかせ
細い手を振りながら走ってくる
女性がいた
静流
「おはよう」
佳澄
「おはようございます」
静流が追いつくと二人は足並みを揃え 歩き出す
静流
「佳澄ちゃんも今年で大学生だね~」
佳澄
「うん でも まさか静流さんと 同じ大学の受験に受かると思わなかったです」
静流
「受験の時 佳澄ちゃんの成績なら大丈夫って言ったでしょ
だから もっと自信持ってよかったのに」
佳澄
「そうですね…」
佳澄の表情が一瞬曇る
静流
「佳澄ちゃん?どうかしたの?」
佳澄
「あ…いえ…いざこれから静流さんの後輩になると思うとちょっと緊張しちゃって」
静流
「そっか~ 佳澄ちゃんが後輩になるんだった
でもあまり気にしなくて良いのよ
昔からの付き合いなんだから」
佳澄
「はい、ありがとうございます。」
その時 校内放送が流れる
『入学式に関係する係に就いている三年生は至急 職員室に来て下さい。』
静流
「あっ…行かないと…」
佳澄
「生徒会長は大変ですね…」
静流
「本当に…ゴメンね佳澄ちゃん また後で!」
佳澄
「はい。」
静流は佳澄に手を振りながら
校舎へ向かって走って行く
佳澄
「…」
しばらく歩くと佳澄は立ち止まり校舎を見上げる
佳澄
「…私一人…か…」
できる事なら
みんなで…
あの人と一緒に この場所に立ちたかった…
あの時…
私にもっと力があったら…
いまの私に…
過去を変える事が出来る力があったら良いのに…
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