ある年のクリスマス

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その年のクリスマスは、何年ものクリスマスを見て来た俺にとっても印象深いものだった。 「…はあ~っ。ったく、ババアの相手は疲れるぜ」 忘れ物を取りに帰った私の耳に聞こえただるそうな声。 その言葉は私の心を深く抉って。 気付けばクリスマスの雰囲気漂う町の中。 ―こんな日に一人で何やってるんだろう、私。 「年末助け合い募金お願いします」 その声に振り返ると大きな募金箱を抱えた男の人が立っている。
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