4人が本棚に入れています
本棚に追加
いつもの場所―
私は学校から少し離れた『あさひ公園』へと向かう
足取りが重い
この『あさひ公園』は3年前に自殺騒ぎがあり、その後『自殺した人の幽霊が出る』とか『あそこで遊ぶと呪われる』とか色々と噂になり近所の人ですら寄り付かなくなったいわゆる“いわく付き”の公園
人目が無い分、いじめには最適な場所
「はぁ…」
深い溜め息が自然と出る
このまま逃げてしまおうか…
時折立ち止まり視線を足元に落としそんな事を思う
だけど逃げられない
私は奴に…高中に弱みを握られているから
いや、私と言うより私達と言うべきか
半年前、私の家は火事にあった
放火らしい
犯人はまだ捕まってない
その火事で私は父と全財産を失った
私に残されたのは火傷のせいで足に障害を抱えた母だけ
しかも私の親は一族から勘当されていて頼る親戚もいない
そんな路頭に迷っている私達を救ってくれたのが高中有里紗だった
奴は自分の親に掛け合い『母を使用人として働かせる』と言う条件で私達に家を貸してくれたばかりか足の不自由な母に働いた分の給料までしっかり出ていた
だから私は奴には逆らえない
逆おうものならまた母と路頭に迷うしかないから…
それからだ
もともとこの容姿と性格のせいでいじめられてはいたのだけど、この出来事のせいで私が拒否出来ないのをいい事に奴らのいじめが陰湿さを増したのは
最初のコメントを投稿しよう!