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直後、同僚達は一斉に、その家を飛び出した。
男の元妻の姿が見えると、呼び止めた。
「あなたが離婚した原因は、あれ、ですか。」
元妻は、顔を覆うと、力なく頷いた。
「ああ。ではあの人は、完全に…。」
そう呟くと、離婚の原因を語り始めた。
「仕事がら、いつも見ていたせいでしょう。いつからか、それ以外の話をしなくなりました。
それは、まるで恋をしているようでした。」
同僚達は、元妻の胸中を思うと、何も言うことが出来なかった。
「なぜ、皆さんは帰ってしまったんだろうね。」
男は妻に微笑みかける。
「いいえ、しているようではなく、恋をしたのです。
マネキンに。」
男の元妻は、悲しげな顔で言い切った。
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