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「やっと着いた。」
「そうだな。こうやって見るとさ、いつも見ているのに、なんか怖いな。」
ケン君は懐中電灯を照らす。照らし出されたのは、ミキとケン君が通う小学校。
かけおちをするって言っても、行く場所なんて限られている。それに、本当のかけおちじゃないから、学校でちょうどいい。
閉まっている門を乗り越えて、校舎へ歩き出した途端、ライトがピカッと光った。
振り返ると、車のライト。降りてきたのは、ミキの両親と、ケン君の両親。
「ミキ!もう、かけおちなんて、何考えてるの!」
言い方はキツイけれど、ミキを抱きしめる母親の手は震えていた。
「だって、パパとママケンカしてばっかり。
私は嫌だったの。だから心配かければ、仲直りするか、と思って。ケン君に頼んだんだ。」
これこそが、ミキの作戦。ミキの両親は、顔を見合せて気まずそうに笑った。
そして、心配させたことをミキに謝り、2人は仲直りした。
「よかったな。」
ケン君に言われてミキは頷いた。
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