世界

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私たちは世界を追われた 愛し合ってはいけない立場だったから あの日から 私達の運命は 狂い始めたんだと思う あの日…私の目に入った物は 小さな小さな… たった一つの石だった 私は石に魅せられて 彼の意志を裏切った 気が付いたら 既に両手は血塗れで 彼は驚愕した表情のまま この世から消えて行った 最初は苦にもならなかった 欲しかった物が手に入ったんだから あの時私が望んだ物は 彼の愛ではなくて 彼が隣りに居る事で得られる 居場所だったの でも 私は見つけてしまった たった一人で輝く翡翠を ああなりたいと思った 一人でも生きられる強さが欲しかった 彼の愛情よりも 私にはそっちの方が気が楽だと思った そして、強くなるために 翡翠を手に入れるために 私は彼を殺してしまった 彼の横にいた私は ただのお飾りの人形みたいだった そして、一人で逃げたわ 誰も 追ってなど来てくれないというのに 自分を守るために 彼を捨ててしまった 楽になるはずだったのに 日に日に悲しみが増したけど 既に遅くて 叶えられなくて それから私は今までずっと 翡翠だけを心の支えにしていた 何度も何度も同じ事を繰返した まるで人形の様に
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