日常への珍入者

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「ふう、やっとつながりました。もう、出るの遅いですよ。」 電話の向こうでため息をついたのが聞こえる。 「今まで寝てたからさ。」 会話が止まる。しばらく互いに無言の後、電話向こうの女の子、里中雲母(きらら)は緊迫した声で、 「ふ……不純異性交友はだ、駄目ですよ。」 「どこをどう妄想したらそんな結論にたどり着くのか知りたいわね。」 「えっだってこんな時間まで寝ていたという事は夜は男の人と一緒にいたと考えるのが… 「本の読みすぎよ、眼鏡っこ。」 息をのむ音が聞こえる。 「そ、それは偏見です!確かに眼鏡をつけている=本を沢山読んでいると捉えやすいですが、かくいう私も本が大好きですが。私はそれよりも人間関係を尊重していてですね… 「眼鏡っこ解釈はいいから、用件は?」 「…その口ぶりだと忘れていますね。」 「何を?」 「今日は一緒にお買い物に行ってくれる約束ですよ。」 「あー、そうだっけ?」 「そうです。だから早く来て下さい。」 ガチャと一方的に切られる。話の腰を折られたのがよっぽど気に入らなかったのだろうか。 「……行きますか。」 まっどうでもいいや、と結論づけて少女、外波(となみ)千早(ちはや)は空のカップ麺をごみ箱に捨てた。
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