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7月20日
常盤台(ときわだい)中学。超能力者(レベル5)が2名、大能力者(レベル4)が数十名在籍する学園都市内の名門中の名門中学である。
その常盤台中学と肩を並べる数少ない名門校、霧ヶ丘女学院。本来なら夏休みに入っているこの時期、教室の一角でカッ、カッという音が鳴る。チョークが黒板を叩く音だ。
名門といっても頭の良さは千差万別。常盤台中学の超能力者の一人で超電磁咆(レールガン)の異名を持つ少女が補習を受けてたように霧ヶ丘女学院でも補習が行われていた。
「―――、―――、―、――……。」
そんな補習教室で鳴り響くチョークの音に雑音が混じっている。生徒に背を向け黒板にチョークを走らせていたもうすぐ40代になる禿髪メガネの男性教師はため息をついて振り返る。
「おい、誰か御子柴(みこしば)を起こせ。」
すると、チラホラいる生徒の一人が手を挙げる。
「嫌でーす。御子柴さん寝起き悪いから。」
「久野(くの)は?御子柴を起こすのはアイツの役だろ。」
「久野さんはー、頭いいから補習受ける必要ないんでー、御子柴さんここに送り届けたらー、図書館に行きましたー。」
今度はおっとり系女子が答える。
「まったく、これじゃ補習がはかどらんぞ。」
もう一度ため息をついて男性教師はその雑音、いびきの原因に目を向けた。
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