日常への珍入者

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髪は茶色のショートカット。整った目鼻立ちをしているが今は口から漏れ出たものであまり見せられた顔ではない。それは枕代わりに置かれた腕の下に埋没した教科書やらノートやらも濡らしていた。 「おい。起きろ御子柴(みこしば)。御子柴清花(さやか)。」 遠くから呼びかけても反応なし。近づいて揺さぶっても結果は同じだった。 「駄目だなこりゃ。完全に寝入ってる。」 「先生、ちょうどいいんで質問いいですかー?」 「んあ、何だ言ってみろ。」 「御子柴さん、頭悪いのに何でこの学校に入れたんですかー?」 男性教師がずっこけた。いや、何か色々突っ込みたいが…。しかし、それを口火に次々と声があがる。 「頭は悪いのに大能力者(レベル4)だしねー。」 「そういう人って能力重視の常盤台行くんじゃないの?」 「だから裏口入学じゃないかって…。」 「えー、あり得ないって。頭悪いもん。」 ワイワイガヤガヤと一気に騒がしくなる教室。これが女子学生パワーなんだよなーといつも通りの風景を男性教師がしみじみと眺めていると、 「お、おみゃいら…。」 今まで発せられた事のなかった声音が響く。爆睡してたはずの少女の体が震えている。 「人が聞いてないからって好き勝手な事言ってんなよー!」 がおーという擬音が聞こえそうな感じで爆睡少女、御子柴清花は吠えた。
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