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崎本が口角を上げ不気味なほどに笑いながら、俺へと足を進めてくる。
俺は無意識のうちに崎本から距離をとろうと、後ろに後ず去っていく。
足元がフラフラし、目眩がより一層激しさを増す。
そんな俺を嘲笑うかのように目を見開きながら俺に近づいてくる。
この状態の俺が後ず去っても何の意味も成さないように、崎本との距離が縮んでいく。三メートル、二メートル、一メートル――…
俺の目の前へと距離を縮めた崎本は、笑いながら拳を高く振り上げる。
俺はその崎本に身構えながらも、恐怖により目を瞑ってしまう。
――ヒュッと拳を降り下ろす音が俺の耳に聞こえ、その速さによって生じた風が俺の髪を揺らす。
――「おい、そこで何してる!!」
低い声が叫び響いた。
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