想い想われ

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 僕は、松田からまた視線を資料へと戻す。そして話は終わりだ、というように、僕は立ち上がる。 「――もう、あいつ以外はお捨てになられたのでしょう?」  話を続けようと、松田は僕を見つめたまま言葉を続ける。仕方がないので僕は一度小さく息を吐き、松田を見据えた。 「それが、何?松田には関係ない事でしょ」 「…あいつが哀切すぎます」  僕は松田の言葉に少し驚く。最初はあんなに柳本のことを嫌っていたのに、今では自らも辛いという表情を浮かべていた。 「――…言わなかったんじゃない、言えなかったんだよ」  僕の言葉に、松田は意味がわからないという表情を僕に向ける。僕はそれを背に資料などを鞄に詰め込み、帰る支度を進める。 「…どういう意味でしょう?」  松田は怪訝な表情を浮かべ僕に問い続ける。 「そのまま、言葉の通りだよ」  僕は支度が終わり、帰るよと一言松田に言う。それを合図に松田は一度短く返事をし、自分の鞄を手に、僕の後に続き生徒会室を後にした。  それから松田は僕に、納得していないみたいだが、必要以上に聞いてくることはなかった。そして僕からも、何も話すことはなかった。
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