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奴は口角を上げながら言葉を続けた。
「君は―…一人暮らしをしているみたいだね」
俺はその言葉に青ざめた。
一人暮らしなんて俺は誰にも言っていない。
「君の両親は亡くなっているそうだね」
奴はまだ言葉を続けた。
しかも俺の耳に囁くように。
「両親は―」
俺は耐えきれず言葉にならない悲鳴をあけだ。
「や…やめろ!!お前は何がしたいんだ!?俺にどうしろっていうんだよ!!?」
もうやけくそだった。
自分でも分かった。
――震えているのが。
俺は奴を精一杯睨み付けた。
こいつには俺の睨み付けなんて効かないのは知っいる。
だけど、こいつにはもう喋ってほしくなかった。
奴は思った通り、顔色一つ変えなかった。それどころか俺の顔を見て、笑った。
「…その目だ。その強気な目。君はどんな顔で僕を楽しませてくれるんだい…?」
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