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「――っ!」
顎に添えられた手に力を込められる。昨日殴られて腫れていた顎は悲鳴をあげる。
あまりの痛さに視界が霞む。
「痛い?」
クスッと笑いながら奴は俺に言う。
…痛いに決まってるじゃねーか。腕を押さえつけられていなければ、今すぐにでも
こいつを殴り飛ばしたいぐらいだ。とても屈辱的な気分だった。
俺は奴の問い掛けを無視し、
「…何が目的なんだ」
と、痛さに耐えながらも奴に聞いた。
――俺は後悔した。どうしてそんなことを聞いてしまったのかを。いや、聞かなくてもこの状況では何も変わりはしなかっただろう。
奴の口から出たのは、とても残酷な言葉だった。
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