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「…君、今日から僕のペットだから」
その言葉に俺は理解できなかった。ペット?何それ、
俺は人間だ。誰の所有物でもない。俺の考えを読み取ったのか、奴はさらに追い討ちをかけてきた。
「君のご主人は、この僕」
俺が口を開く前に、奴は俺に顔を近づけてきた。
どんどん視界は奴の顔でいっぱいになる。そして、抵抗する間もなく唇に柔らかいモノが触れる。
それがキスだと知るのは少し時間がかかった。
俺は奴にキスをされていた。
「――!??んぅっ」
奴は俺の唇を舐め、
吸ってきた。そんな行動に驚いて口を開けば
間髪入れずに舌を入れてくる。歯列をなぞられ舌を絡みとられる。クチュと部屋に厭らしい音が鳴り響く。
俺は酸欠状態になり、奴から逃れようと必死に暴れた。
そうすれば、奴はゆっくりと唇を離す。
俺と奴との間には名残惜しいように銀色の糸が紡いでいた。俺の唇の端からは溢れ出た唾液がトロリと垂れていた。
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