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そう言い俺から離れた。
…上条先輩だと?こいつは何様のつもりなんだ。
しかし、今はこいつの言う通りにしなければ、何をされるかわからない。
俺は体を起こし、ネクタイで縛られていた腕を奴に突きつけた。
「すみませんけど、これ…いい加減取ってくれませんかね?」
嫌味を込めながら奴に言った。しかし、そんな嫌味なんて上条には通じなかった。
「自分で取れないの?…本当に呆れたペットだ」
そう言いながら俺のネクタイを外していく。
…自分で取れたら、取ってるっつーの。
自由になった腕を摩りながら、俺は壁に掛っていた時計に目をやった。
――10時25分。授業はとっくに始まっており、2限目の途中だ。
ここの部屋は始業のチャイムが鳴らなかったので、時間がわからなかった。
上条は、扉の鍵をカチャリと開けドアノブに手を掛ける。しかし、何か思いついたのか俺のほうに視線を向け、
「君に言うことを忘れていた。」
そう言いながら、目を細め俺に言った。
「君に守ってもらいたい事があるんだ」
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