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「―っ…くそ!」
あの目が頭から離れない。
怒りをぶつけるように壁を叩きつければ、返ってくるのは叩きつけた手に走る痛みだけ。
そんな思いを胸に抱きながら静かな階段を降り、下駄箱に手を掛け靴を取り出し履き替える。
校舎を出れば、春特有の匂いが鼻を突く。そしてまだ冬の名残が残っているのか肌寒さを感じる。
俺は季節の中でも春が好きだ。匂いも好きだし、桜の花が舞っているのも好きだから。
校門に向かい足を進めていると、後ろから声が聞こえた。
「…ちょっと、君」
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