誘惑そしてお仕置き

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「ぁあ?てめぇには関係ねぇだろ?」 そう言いながら、じりじりと上条に近づいていく一年。 生徒会長のことを知らないにしても、ここまでとはある意味、上条よりも怖い。 上条はそんな一年に眉根を寄せ、目を細める。かなりやばい雰囲気だ。 さすがにもうやばいと感じたのか、先輩の一人が一年の腕を掴む。 一年はその先輩の方へと視線を向け、 「何っスか先輩」 と、怪訝な表情を向けた。しかし、そんな一年に構わず先輩は上条に視線を向けた。 「すみません、こいつまだ何も知らなくて…。今日のところは見逃してくれませんかね?」 そう言いながら、先輩は手に持っていた煙草を地面に落し、火を消す。 その行動に続けてもう一人の先輩も同じように火を消した。 そして先輩達はその吸殻を拾い、制服の懐から煙草の箱とライターを取り出し上条に渡した。 上条は差し出された煙草を受け取り、ゆっくりと俺の方に視線を向ける。 その目は何も感情が読み取れないほど暗い色をしていた。 その目に耐え切れず俺も上条に吸殻と煙草の箱、そしてライターを手渡した。
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