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屋上には俺と上条。
永久にも感じるほどの静寂が包みこむ。
「…いい加減僕の方に向いてくれるかな?」
この静寂を破ったのは上条だ。俺は恐る恐る振り返る。
振り向いても、俺は上条の顔を見ることができず俯いたまま。声から上条の感情を読み取ろうとしても、その声は淡々としていて何も読み取ることはできない。
そうしていれば、俺に影がかかり視線を落としていた先に上条の足元が見えた。
――上条が俺の前に立っている。
そう考えるだけで肩が震え嫌な汗が伝う。
「こっち向いて?」
上条は言う。その声は意外にも優しい声色だったので俺は驚き顔を上げる。
しかし、その声とは裏腹に上条の表情はとても不服そうに眉を顰めていた。
俺はその表情に息を呑む。
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