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「さて…」
上条は目を細めながら俺を見据える。その目に俺は体を強張らせた。
「今度こそ、ちゃんと教室に戻るんだよ」
「わかってる…」
そう返せば、上条は首を縦に振り「えらい子」と俺の頭を撫でる。
その上条の行為に俺の胸の奥、深いところに強く響いて、心臓がどくどくと激しく波打つのを感じた。
(なんだ…これ)
俺は胸が苦しくなる感じを上条に隠しながら、屋上の出口に足を向けた。
――どくん、どくんと胸の高鳴りは収まらない。
扉の取っ手に手を掛け、開けた瞬間に上条に呼び止められる。
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