狂い始めた感情

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このまま此処にいる訳にはいかない。この扉の向こうには上条がいる。いつこの扉が開いて上条が来てもおかしくはない。 俺は重い腰を上げ、階段を下り教室に向かった。 ――今は何時だ? ふと頭に過る。さっき上条といたときはチャイムなんか耳に入らなかったので、今何時か全然わからない。 しかし、もう授業は始まっているだろう。廊下は静まり返っているし、各教室からは教師の声が聞こえたから。 俺は足早に自分の教室へと向かった。 ガラッと教室を開ければ一斉に視線が俺の方へと集まった。教師も黒板に書いていた手を止め俺の方へと視線を向ける。 「おぉ、柳本か。早く席に着きなさい」 そう言うと、特に遅れた理由を聞くわけでもなく、また黒板に視線を向けた。 クラスの奴らも少しの間ザワついていたが、何事もなかったかのようにまた黒板の方へと目を向ける。
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