狂い始めた感情

4/15
前へ
/234ページ
次へ
もし捨てられてしまったら…?そう考えるだけで体が震えた。 まだ会って間もない上条をこんな風に思い、考えるなんて…。 俺はおかしくなってしまったのかもしれない―― 窓から見える桜の木を見つめながら、消えることのない上条の顔を思い耽っていた。 周りが賑やかになったことで、俺はハッと辺りを見回す。壁に掛っている時計を見やると、昼休みになっていた。 ――どうやらチャイムの鳴る音も俺の耳に入らなかったみたいだ。 昼食時のせいか、俺の腹はグーと空腹を知らせていた。俺は席を立ち食堂へと向かう。 階段を下り、食堂に通じる渡り廊下を歩く。そこで向こうからこちらへ歩いてくる見慣れた姿があった。 ――上条… さきほどまで考え耽っていたその姿を見つけ俺の胸は高鳴る。 上条は隣にいる男子生徒と、手にしている書類を交互に見比べ合っていて俺には気づいていないみたいだ。
/234ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2120人が本棚に入れています
本棚に追加