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どんどんこちらに近づいてくる。煩いくらいに高鳴る鼓動。
俺はそれを抑え平静を装い出来るだけ上条の方に視線を向けずに歩みを進める。
無意識のうちに全ての音を遮断し意識だけ上条の方へ向ける。
三メートル…二メートル…一メートル…
そして俺の横を上条は通り過ぎる。俺は肩の力が抜けそこで立ち止まってしまう。
上条は俺に気付いていなかったのか、視線さへ俺に向けずに過ぎ去ってしまった。
――俺はただのペット。
それ以上でもそれ以下でもない。俺がこんなに胸を高鳴らせても、上条にとってはどうでもいい事。
ただ上条に従えばいいだけのペットでしかない。
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