狂い始めた感情

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俺は昼食を済ませた後、人気のない体育館裏へと足を進めた。 ここは本当に人が来ない。しかし、此処はとても綺麗な場所。桜並木が目の前にあり、体育館に通じる裏口の階段もあり座るところにも困らない。 俺はそこで無意識のうちに制服のポケットに入っていた煙草を取り出し、火を点けていた。 ここなら教師にも見つからないし、…上条にも見つかりはしないだろう。 肺に煙を入れるように深く吸い、空に白い煙を吐く。そうすれば気持ちが楽になり、心が落ち着く。 空を見上げれば、雲ひとつない空に、桜がヒラヒラと舞っていた。しかしそんな景色を余所にどこからか声が聞こえた。 何だろうと、声のする方に耳を傾ける。 ――「っ…は、ぅあ…もう…」 ――「何言ってるの、まだまだこれからでしょ?」
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