狂い始めた感情

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――… 帰りのSHRが終わってから約二時間。外はもうオレンジ色に染まり、グラウンドにはサッカー部や野球部などが活動していた。 僕は手元にある資料と時計を交互に見つめ深い溜息をつく。 「溜め息などつかれて…どうされたのですか」 そんな僕の手元に湯気を出しながらアールグレイの香気を漂わせた紅茶が置かれる。 僕は資料から目を上げ、声の主に視線を向けた。 「松田か…。ありがとう」 そう彼にお礼を言い、紅茶を口に含む。そうすればふわっとアールグレイの香りが口の中に広がり、とても落ち着く。 「さすが松田だね、とても美味しいよ」 松田に微笑みかけたが、松田の表情は険しかった。 その表情に僕は疑問を抱き首をかしげる。 そんな僕に松田はあからさまに溜め息を吐いて見せ、また同じ言葉を僕に言った。
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