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『パパ…ママ…』
深い深い闇の底から一歩一歩這い上がるその先にパパとママがいる
その場所は暖かい日差しがあたり、秋から冬を飛び越えいきなり春が来たような環境のように思えた。パパとママが待つその場所に行きたくて由布子はもがき苦しんでいた
病院のベッドの上で、酸素マスクを装着され身体にはいくつもの管をつけて横たわる由布子はそんな夢を見ていた
何日が過ぎたのだろう
事故で負った外傷は少しずつ癒えていくのがわかった
でも、事故で両親を失った悲しみから由布子は笑顔を見せる事はなかった
パパ…
ママ…
由布子はどうやって生きていったらいいの?
秋の風は冷たく吹き銀杏の葉を枝から巻き上げ残された枝は泣いていた
やがて冬が来ようとしていた
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