CM②

4/14
前へ
/1162ページ
次へ
加奈は嫌な気分が抜けないままスーパーで買い物をした。 「!…純也君」 店の入り口で待っていてくれた純也を見て、加奈はすっかり純也の存在を忘れていたことに気がつく。 「加奈ちゃん、嫌なことは考えないでマンションに帰ろ?」 純也は笑顔で加奈を見る。 「…うん」 浮かない顔のまま、加奈はマンションへと歩きだす。 「悩まなくても大丈夫だよ。北条さんには連絡しておいたから。加奈ちゃんから北条さんに話すより気が楽だろ?」 加奈の1m後ろを歩く純也が言う。 「有斗に連絡したの!?どうして電話番号を知ってるの!?」 加奈は驚いて振り返ると純也を見る。 「加奈ちゃんに赤ちゃんができたから、いつでも連絡がとれるように電話番号を交換したんだよ」 純也は優しい目で答える。 「…そうだったんだ」 純也の返事を聞いて、なんだかホッとする加奈。 (私にはどんな時でも有斗がいてくれるんだ…) 加奈は前を向いて歩きだす。 「加奈ちゃん、北条さんがきっとなんとかしてくれるから元気を出しなよ」 「うん!なんだか元気が出てきた!純也君、ありがとう!」 加奈は笑顔になると、元気よく純也にお礼を言う。 「どういたしまして。やっと元気になったね。加奈ちゃんには元気が似合ってるよ」 話しているうちにマンションのエントランスに着いた。 「じゃあ、加奈ちゃん、バイバイ」 笑顔で手を振る純也。 「純也君、今日もありがとう。気をつけて帰ってね。バイバイ」 加奈も笑顔で手を振ってから、マンションの中に入っていった。
/1162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8018人が本棚に入れています
本棚に追加