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加奈は嫌な気分が抜けないままスーパーで買い物をした。
「!…純也君」
店の入り口で待っていてくれた純也を見て、加奈はすっかり純也の存在を忘れていたことに気がつく。
「加奈ちゃん、嫌なことは考えないでマンションに帰ろ?」
純也は笑顔で加奈を見る。
「…うん」
浮かない顔のまま、加奈はマンションへと歩きだす。
「悩まなくても大丈夫だよ。北条さんには連絡しておいたから。加奈ちゃんから北条さんに話すより気が楽だろ?」
加奈の1m後ろを歩く純也が言う。
「有斗に連絡したの!?どうして電話番号を知ってるの!?」
加奈は驚いて振り返ると純也を見る。
「加奈ちゃんに赤ちゃんができたから、いつでも連絡がとれるように電話番号を交換したんだよ」
純也は優しい目で答える。
「…そうだったんだ」
純也の返事を聞いて、なんだかホッとする加奈。
(私にはどんな時でも有斗がいてくれるんだ…)
加奈は前を向いて歩きだす。
「加奈ちゃん、北条さんがきっとなんとかしてくれるから元気を出しなよ」
「うん!なんだか元気が出てきた!純也君、ありがとう!」
加奈は笑顔になると、元気よく純也にお礼を言う。
「どういたしまして。やっと元気になったね。加奈ちゃんには元気が似合ってるよ」
話しているうちにマンションのエントランスに着いた。
「じゃあ、加奈ちゃん、バイバイ」
笑顔で手を振る純也。
「純也君、今日もありがとう。気をつけて帰ってね。バイバイ」
加奈も笑顔で手を振ってから、マンションの中に入っていった。
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