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「このブルマン8番テーブルだよ」
「はーい、マスター。了解でぇす」
ここは小さいけれど落ち着いた雰囲気の喫茶店。
マスターの淹れるコーヒーは絶品で、常連さん達のたまり場になっている。
「おまたせしましたぁ」
「おっ、加奈ちゃんサンキュー。今日も綺麗でいて、とっても可愛いね。俺の娘にならないか?」
「あはは、ありがとうございます。でも遠慮しておきます」
笑顔で常連のお客さんといつものやり取りをする加奈。
加奈がこの喫茶店でバイトを始めて半年になる。
最初のうちは慣れなくて、笑顔が引きつったり、いろんな失敗をしたりもした。
でも今は笑顔も自然で愛想も良く、常連さん達にもかわいがられている。
バイトを始めてから3ヶ月目で憧れの人ができた。
その男性はよく来るお客さんで、背が高くて身長180cmくらい、歳は20代前半だ。
女の子なら誰もがうっとりとする、まつ毛の長い二重の涼しい目に形の良い鼻と唇をしている。
とても知的な感じがしてイケメンという軽いイメージじゃなくてハンサムと言った方がぴったりの男性だ。
自分なんか相手にされるハズがないと諦めていた加奈は今までずーっと見ている事しか出来なかった。
(今日こそ渡さなきゃ…)
加奈は心の中でつぶやくと気合いを入れる為に小さくガッツポーズをした。
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