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ここはホテルのレストランの個室、円卓には6人の男女が座っている。
「ではまず自己紹介をしましょう。僕は北条有斗といいます。隣に座っているのは妻の加奈です」
「よろしくお願いします」
変装用の眼鏡をかけた加奈が笑顔でお辞儀をする。
「じゃあ、伊勢崎君から順に自己紹介をしてくれますか?」
にこやかに言う有斗。
「伊勢崎修一です」
女嫌いの上に父親に無理やり来させられた修一はぶっきらぼうに言う。
「三崎賢悟です」
同じく女嫌いで父親に無理やり来させられた賢悟もぶっきらぼうに言う。
「相沢智美です。私立陽成大学1年です。よろしくお願いします」
智美はにこやかに言うとお辞儀をする。
「飯田奈緒です。私も陽成大学1年です。よろしくお願いします」
奈緒もにこやかに言うとお辞儀をする。
「「…」」
自己紹介が終わったあと、修一も賢悟も何も話そうとはしない。
二人ともただ不機嫌そうに座っているだけだ。
智美と奈緒はそんな二人を見て顔を見合わせながらクスクス笑っている。
(…なんだ?この子たちは……他の女の子はみんな僕の顔を見たら頬を赤く染めて瞳をうるませるのに…)
智美と奈緒の態度を見て修一も賢悟も同じことを思った。
二人とも女嫌いだが自分が女の子にモテるイケメンだというプライドはあるのだ。
事実、女の子が10人いたら10人とも二人の顔を見ると頬を赤く染めて瞳をうるませる。
それなのに智美と奈緒は頬を赤く染めるどころか二人の顔を見て笑っている。
「「何がおかしくて笑ってるんだ?」」
プライドを傷つけられてムッとした修一と賢悟は思わず同時に口を開いた。
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