お見合い

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「だって二人とも大きな子供みたいなんだもの。本当に女の子が苦手みたいね」 「はい、嫌なのにお父様に言われて仕方なく来たからふてくされてるんですよね」 智美と奈緒はクスクス笑いながら答える。 「「子供!?女の子が苦手!?僕たちが!?」」 思ってもみなかった智美の言葉と、奈緒に図星をさされて思わず叫ぶ様に言う修一と賢悟。 「いくら嫌だからって…そのふてくされた態度は大人の男性のものじゃないわ」 「智美ちゃんの言うとおりです。大人の男性の態度じゃありません」 笑顔で言う智美と奈緒。 「…ふてくされてたのは悪かったよ、ごめん」 年下の智美と奈緒に諭されて素直に謝って頭を下げる修一の隣で、賢悟も頭を下げる。 修一と賢悟は大学4年なのだ。 「あら?女の子が苦手なわりには素直に謝るのね」 「そうですね。ちょっと見直しました」 智美と奈緒が『意外だ』という顔をする。 「本当に悪かったよ。だけど僕たちは女嫌いだけど苦手じゃないよ?」 賢悟が真面目な顔で反論する。 「じゃあ、なんで女嫌いになったんですか?」 奈緒が興味津々な顔で聞く。 「「…」」 奈緒の質問に黙り込む修一と賢悟。 「言いたくないんですか?」 笑顔で聞く奈緒。 「奈緒ちゃん、二人とも心の傷を話せるほど大人じゃないのよ」 智美が笑顔で奈緒を見る。 「智美ちゃんだっけ?ずいぶん人を子供扱いするんだな」 ムッとして智美をにらむ修一。 「人は心に傷を負うことがあるわ。でもそれを乗り越えられないなんて大人じゃないもの」 智美は笑顔だがキッパリと答える。 「…わかったよ…話すよ…賢悟、お前から先に話せよ」 賢悟の顔を見る修一。 「修一、お前が先に話した方が早いって」 賢悟が修一に言い返す。 「僕からか?…わかった…話すよ」 修一はあきらめて答える。 加奈と有斗は黙ったまま4人の話を微笑んで聞いている。
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