通り魔

2/3
101人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
近頃、うちの近くで通り魔事件が続いているんだ。 毎晩のように何人もの人が刃物で切り付けられている。 現実に危険に晒されると、警察なんて頼りにならないものだ。 毎晩コンビニに夜食を買いに行くのが日課になっている俺は、万一に備えてカッターをポケットに入れている。 自分の身は自分で守らないといけないんだ。 いつものように、今夜もコンビニに買い物に行った。 人気のない帰り道、後ろから足音が近付いてくる。 もしかして通り魔だろうか? 追い抜きざまに切り付けてくる気なのか? それとも背中から刺してくるのか? 俺はポケットのカッターを握り締めた。 足音は背後に迫っている。 「はあはあ」と荒い息遣いが聞こえてくる。 奴と並んだ瞬間、目が合ってしまった。 表情のない目が俺を見ていた。 危険を感じた俺は、奴より早くカッターを振り下ろした。 今夜だけでも4人の通り魔を切り付けてやった。 こんな事件が終わるのはいつの日の事だろうか。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!