ぷろろーぐ

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ぷろろーぐ

世界には大きく分けて二種類の人間がいる。というか、いるらしい。 まず一般的な普通の『人間』。 これは説明しなくてもわかっていただけるだろう。 中には『普通』の定義が知りたい、などとぬかす輩がいるかもしれないが、そのような人はチャリンコでウィリーを決めつつ、「YO!HEY!」などと叫びながら、肥溜めにでも落ちてもらいたい。 そしてふたつ目として、語り継がれる『童話』の力をその体内に宿した人々。 通称【童師】。 おとぎ話に聞いたことはあっても、事実、そのような人々を私は見た事が無かった。 そしてきっと、親友の薫も、遊び仲間の夾介君も、そして他のクラスメイトのみんなも、そうだったに違いない。 ただ、担任の『悪鬼』こと秋山先生と彼を除いて。 そして私は出会い、知る事になった。 月の光が導く、夜の帳の中で。 決して交わる事の無いはずの正反対な彼と。 それはまるで、昼と夜。 ヒカリとカゲ。 タナトスとエロス。 快楽と苦痛。 愛と無関心。 必然と偶然。 保護と破壊。 個人と世界。 味方と敵。 彼と彼女。 私とあなた。 そして新たな物語が紡がれ始める。 平凡だった私の日常を変える事になる、絶望と、希望と、友愛の物語が。 さて、長ったらしい前置きはこれくらいにして、そろそろ始めることにしよう。 私がここで述べられることなど、ほんの些事にすぎないのだから。 では皆様、物語の始まりハジマリ……。
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