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――――昼休み。 「音崎くん、ちょっと付き合ってくれるかな?」 「藍ちゃんからのお誘いなんて、嬉しいなあ」 コイツと余計な話をする気はないから、返事はせず腕を掴んで屋上まで連れて行った。 「藍ちゃんってさあ、教室じゃあんな顔もするんだね どっちが素?」 「…こっちに決まってんじゃん」 「ふーんそうなんだ それって疲れない?」 「別に」 疲れるとか思ったことはない。 仮面をつけて生活することは、俺にとって息するのと同じようなモノだから。 「…とりあえず、黙っててくんないかな? 俺は、¨イイ子の藍ちゃん¨でいたいから」 「何で?」 「イイ子の方が、何かと得でしょ」 「…別にイイけど じゃあ口止め料として」 引っ張られたかと思うと―――唇が触れていた。 「…………」 「なーんだ 反応なしとかつまんないの もっと抵抗とかしてくれたら面白かったのに」 「あんたさ、俺に何求めてんの?」 「別に ただ、藍ちゃんに、興味持っただけ」 「すげー迷惑」 「そうそうその顔イイね 人間くさくて好きよ、俺」 「お前…っ!」
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