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エミとは幼馴染み。
同じ団地住まいで、小・中学校と一緒で、高校は違ったが、田舎町だがらいつも顔を合わせていた。
くりっとした丸い目で、前髪を眉のところで切り揃えてた。
地元ではカワイイとちょっとした有名人で、コウタのアイドルだ。
今日の作戦は3日前に決まった。
タイチ家で、
~コウタ告白大作戦~
と題し、男女友達5人が集まり、
”まず、俺が外に連れ出して、襲いかかるとこを助けるとかどう?”
”何それぇ。最悪じゃん。もっとムードあるのないの。いっそみんなの前でスキだぁて言っちゃえばいいじゃん。キャハ。”
”いやいや。エミは恥ずかしがり屋だから、そんなんじゃ自滅するの目に見えてんじゃん。”
コウタのことはお構い無しに盛り上がってる。
「まぁ、でも俺たちがどうこう言ってもしょうがないやん。するのコウタなんやし。おいっ、コウタ!!とりあえず、お前がやりやすいように、俺たちがバックアップするけ、大船乗ったつもりで頑張れや。」
と、タイチがコウタの肩をポンッと叩き、前歯の欠けた顔でニィと笑った。
”マジ大丈夫かよ・・・。”
もうどれくらい経っただろう。
コウタはブランコをこぐエミを見てるだけで、まだ何も言えずにいた。
心臓は今にも飛び出してきそうな程、バクッバクッと激しさを増す。
すると、エミはブランコに立ち、勢いよくこぎだした。
「ねぇコウタ。そろそろ戻ろっか?私、寒くなってきっちゃた。」
そう言うと、エミはふわりと飛び降り、コウタの隣に座った。
”今しかない!!今がチャンスだ!!”
でもコウタは緊張で声が出せずにいた。
その時、エミは人差し指でコウタの額を突き、
「ササキ コウタっ!!男なら男らしく言えっ!!」
と怒鳴った。その声は真夜中の校内に響くとともに、コウタの心臓の脈打ちをびくっと止めた。
「はぁ、かっこ悪ぃよな俺。ごめんなぁ。俺エミが好きで好きでたまらん。自分でもどうしていいか・・・。」
次の言葉を遮るように、エミは唇を重ねてきた。
はじめてのキスだった。
「コウタがちゃんと言ってくれないなら、他の人と付き合う。エミ、もう待てんよ。」
と言って、エミは歩いていこうとした。
無意識だった。
無意識にコウタは、エミを後ろから抱きしめた。でも、もう頭の中は冷静で、エミを向き直らせると、もう一度キスをした。
「ごめん。俺はエミが好きや。この気持ちは誰にも負けん。ずっと一緒におってくれ。」
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