1人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
コウタの乗る、博多行き”特急かもめ”の発車がまもなくのアナウンスが構内に響き渡る。
「んじゃ、行ってくんね。着いたら電話するけ。」
エミは、車の中からずっと俯いたままだった。
コウタも話したいのだけど、言葉が出ないでいた。
いよいよ発車時刻になり、改札を通るコウタの背中から声が聞こえた。
エミの目からは、たくさんの涙が溢れていた。
コウタは初めてエミの涙を見た。
いつも、気丈で強いエミが、初めてコウタに見せた涙だった。
コウタはこの時、改めてエミの彼氏になれたんだと実感した。
「馬鹿コウタ!!ずっと一緒やけんね!!」
手には、お揃いの真っ白な携帯にぶら下がった、ストラップが揺れていた。
最初のコメントを投稿しよう!