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コウタを乗せた電車は、予定通りに正午前に佐世保駅に到着した。
改札を抜けると、コウタは待ち合わせ場所の公園へと走った。
この日は雲ひとつなく、透き通るような青天で、まだ5月だというのに、汗ばむ位の暖かさであった。
公園に着くと、捜さなくてもすぐにエミを発見できた。
黒いワンピース姿に、白の日傘をさし、辺りをキョロキョロしている。
コウタは、乱れた息を整えてから、ひとつ深呼吸した。
「ごめん、ごめん。おまたせ。って言うかただいま。」
「もうっ!!遅いっ!!疲れたっ!!」
そう言ってエミは、頬をプクッと膨らませって見せた。
でも、すぐさま肩からさげた鞄から、フェイスタオルを取り出し、コウタの額の汗を拭った。
「おかえり。」
2人は、すぐ傍の喫茶店に入り、同じランチセットを頼んだ。
コウタは、福岡での事を次々に話す。
エミはうんうんと頷きながら、ハンバーグを食べている。
毎日、携帯で長電話しているのに、コウタはエミに久しぶりに会えた嬉しさで、休みなくしゃべっていた。
この日の天気と同じように、心は晴れ晴れとし、幸せだった。
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