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ミウは、コンコンと二回ノックしてから、相手の返事を待たずにガチャリと扉を開けた。
大きな机が一つに、来客用の机、椅子がある。
他には本棚くらいしか置いていない殺風景な部屋だった。
ミウと共にコツコツとブーツを鳴らして机に近づけば、そこには一人の男性が居た。
先程の男よりもずっと身なりのいい人だ。
ミウの父親なのかもしれない。
「ミウ、どうしたんだい?」
男はミウを抱きかかえ、自分の膝の上へ下ろした。
相変わらず無表情なミウだが、その時ばかりは口の端を少し上げたように見えた。
「お父様、お金くれた。好きな物買っていいって」
「ああ、言ったよ?それで何かいいものは見つかったかい?」
「うん。絵を買った。見た事のない丘の絵だった。そこにね、変な生き物が居たの」
あれ、とリュウは首を傾げた。
先程から二人のほのぼのとした会話を聞いているが、ミウの言った言葉の最後の部分に引っかかるものを見つけたのだ。
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